2021年本屋大賞にノミネートされていて、あらすじに惹かれて読みました。
30代前半の女性の等身大の葛藤が描かれていて、共感するところも多かったです。
タイトルもお気に入りです。
あらすじ
東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。
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感想
全体的によかったです。
一人の女性の32〜34歳までの等身大の物語。
結婚、出産、親の看病、契約社員という立場、セクハラ、胸の悩みなど、色んなタイプの問題に直面し、葛藤している姿に共感するところが多かったです。
親の介護や看病は、本当に考えさせられる問題。
都のお父さんの「子どもは親の面倒をみるのは当然」という意見には全然共感できなかったけれど、実際に親が病気になったら、自分の人生を優先できるのか分からない。
自分が歳をとるように、親も一緒に歳をとっているから、30代〜40代でこの問題に直面する人は多いはず。
特に、都のように一人っ子の場合には、腹を割って話せる相手が少なそうで大変だろうなと思った。
それと、学歴の偏見について考えるきっかけになった。
貫一は家庭環境に恵まれなかったけれど、精神的に安定していて、実際にすごくいい人。
でも「中卒」という学歴に周囲も引いてしまい、そして自身も劣等感を感じていて、それが今の日本社会の感覚なのだと思った。
今まで学歴コンプレックスなんてばかばかしいと思っていたけれど、苦労している人もいる。
最終的に都は、ニャン君と結婚しちゃうのかなと思ったけど、きちんと自分で決めることができてよかった。
個人的には、そよかのバシッと言うところが好きだった!
印象に残ったところ
何を期待されていて、それにどう応えるか。何を主張したいか、主張を声高にしたいのか匂わせる程度にしたいのか。そういうことを表現するのが、都にとって「着る」ということだ。
私の胸は小さくしようがないけど、貫一のコンプレックスはやろうと思えば少しは改善できるじゃん。
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