川村元気「神曲」の感想

小説

川村元気さんの「神曲」を読みました。

我が子が無差別殺人の被害に遭い、母親を中心に宗教にのめり込んでいく家族の物語。

2021年に発売されたものだけど、なんだかすごくタイムリーで思うことが色々ありました。

あらすじ

小鳥店を営む檀野家の穏やかな日常は、ある日突然終わりを告げた。小学生の息子が通り魔に殺されるという凄惨な事件によって——。「息子さんのために、歌わせてください」。悲しみに暮れる檀野家に、不思議な聖歌隊がやってくる。訝しむ父をよそに、母と娘は、歌うことによって次第に心を取り戻していくが……。

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感想

私はまだ大人になってから身近な人の死というのを経験したことがなくて、

例えば病気や災害が理由でも想像したくないほど辛いけど、

それが無差別殺人だったとしたら、確かに気が狂うと思う。

宗教にすがらないと生きていけなくなるほどの感情の揺れがあるのは理解できる。

宗教にのめり込んでいる人って、自分では受け止められないことが起きてしまって、

それしか選択肢がないからハマっていくのかな。

個人的に何を信じてもいいと思うけど、家族を巻き込んで他のものを排除しようとしたり、

思考停止で生きていくのは違うと思う。

この本は、父親、母親、娘の3人の視点から描かれているけど、

どの立場でも辛くて悲しくて読むのが大変だった。

印象に残ったところ

「神様を信じるのは別に悪いことじゃない。お金や株式、国家や会社とかも、ある意味みんな宗教だからね。そういうものがあるから、ひとは生きていけるとも思う。だけど、自分の神様以外を否定するのは間違っている。そこを否定しちゃうから戦争が起きる。答えがひとつしかないって、やっぱりおかしいと思わない?」

「好きなものより、苦手なものが一緒っていう方が信用できるのかな(略)苦手なものはなかなか変わらない。でも、好きなものはすぐ変わっちゃうからかも?」

「私は・・・信じたいです。でも信じたものに、ことごとく騙されてきた気もするんです。だから信じることと、騙されることはセットなのかなって」

「ああ、神が集まりすぎると戦争が起きる」

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