凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」を読みました。
ヤングケアラーの2人が、葛藤しながら力強く生きていく様を描いた本作。
涙なしでは読めませんでした。
あらすじ
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
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ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
感想
心が弱ってしまった母親を見捨てられずに、自分の人生を犠牲にしてしまう男女の話。
高校生から30代までの出来事、心情がそれぞれの視点で描かれています。
“普通”の家庭だったら経験しなくてよかった経験や感情を抱えてる2人だからこそ、
“普通”の範囲では収まらない家族のかたちや夢を叶えることができたのかな。
特に暁海の現実的な行動力はすごい。
お父さんが不倫して家を出て行っただけでも子どもとしてはショックなはずなのに、
それで心が壊れた母親を支え続けて、でもその後も何度も挫折して。
心が砕けてもおかしくないのに、本当に強い。
北原先生や瞳子さんも、ちゃんと自分の頭で考えて生き抜いてきた大人なんだろうな。
現実的に辛い経験をした人は“普通”の人の価値観では考えられない、思いもよらない考えや生き方をする。
かっこいいし尊重される社会であってほしいなと思いました。
印象に残ったところ
わたしは刺繍の仕事が好きだ。けれど好き嫌いとは別に、ある日いきなり離婚を切り出されても慌てない、逆にわたしが出ていきたいと思ったときに実行できる程度の経済力を持っていたい。自分の人生の手綱は自分でにぎっていたい。
「自分で自分を養える、それは人が生きていく上での最低限の武器です。結婚や出産という環境の変化に伴って一時的にしまってもいい。でもいつでも取り出せるよう、メンテはしておくべきでしょうね。いざとなれば闘える。どこにでも飛び立てる。独身だろうが結婚していようが、その準備があるかないかで人生がちがってきます」
「人は群れで暮らす動物です。だからなにかに属さないと生きていけない。ぼくが言っているのは、自分がなにに属するかを決める自由です。自分を縛る鎖は自分で選ぶ」
--とりあえずは、互助会に入るくらいの感覚でいいんじゃないでしょうか。
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