[エッセイ]江國香織「やわらかなレタス」の感想

江國香織さんのエッセイ「やわらかなレタス」を読みました。

江國さんの小説は「東京タワー」を何年か前に読んだことがあって、物語に登場する人物がすごく魅力的で、特に“いい女”に魅せる描写が上手だなと思った記憶があります。

そんな江國さんのエッセイ。エッセイもたくさん描かれているようですが、「やわらかなレタス」は食べ物が必ず登場してきて、お腹が空いてくる1冊でした。笑

概要

リスが仮死状態になるくらい寒い場所でのむ、あたたかいジュース。湯通ししためかぶが青々とすきとおる、目のさめるような瞬間。はたけのじょうとうなレタスを食べた、ピーターラビットの感動…。食べものをめぐる情景が心にしみわたる、おいしいおいしいエッセイ集。

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感想

しなやかな文章だった。言葉の選び方が適切で、私が知らないような言葉も出てきて、そんな表現があるのかぁとうっとりもした。

「東京タワー」を読んで、勝手に江國さんってこんな人かなと想像していたけど、まあまあ一致した。それが少し嬉しい。笑

妹と行く「お買物」も、深夜に原稿を渡すこともある「バー」も、編集者の野球チーム応援も、なんだかすごく憧れた。

江國さんは私のお母さんくらいの世代だから、共感というよりは、憧れる部分がたくさん詰まってるエッセイだった。

言葉に対して敏感で、ユーモアがあって、チャーミングな江國さんと、時々登場する旦那さんに興味が湧いた。

印象に残ったところ

服とか靴とか衿巻とかお菓子とか、好きなもの、きれいなもの、気持ちが華やぐようなものだけ買う買物が、「お買物」。

鱈はでしゃばらない。控え目で、心根がよく、思慮深い魚だという気がする。(中略)自分の身を惜しげもなくさしだしてくれる寛大な生きもので、そこには殉教者のように高潔な精神を感じる。

徹夜ではない日、きょうはもうこれでやめよう、と思うと深夜で、料理をする余力はなく(というより、だいたい家に食材もなかった)、空腹で、それ以上に、こもりっぱなしの仕事部屋以外の空気を私は必要としていて、だからバーにでかけた。

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