瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」を読みました。
PMS(月経前症候群)に悩む女性が登場する小説、という前情報を知って購入。私も毎月PMSで苦しんでいるので、共感できるところがたくさんありました。パニック障害のことも少し知ることができたと思います。
こうやって本を通して、自分の知らない、人の感情や状態に触れることができるところが、小説の好きなところです。
あらすじ
職場の人たちの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、やる気がないように見える、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。山添君は、パニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。互いに友情も恋も感じてないけれど、おせっかい者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる―。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。
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感想
瀬尾まいこの作品は、いつも読み終わった後にやさしい気持ちになる。今回の本もご多分にもれず、あたたかい気持ちになった。
PMSの症状って、女性の中でも個人によって大きく変わってくる。全く変化がない人もいるし、仕事へ行けなくなるほど酷い人もいる。症状も、身体的なことから、今回の物語に出てきた美紗のように精神的なことまで幅広い。私は高校生の時に、PMSという言葉を知って救われた気持ちになった。自分がおかしいんじゃなくて、ホルモンのせいなんだと、自分だけじゃないんだ、と救われた。
パニック障害のことは、言葉だけで実態は知らなかったけど、普段は普通の人と同じなのに、条件が揃うとパニックになってしまうことがあるというのは、PMSと似ている気がする。そして、見た目では分からないから周りから理解されず、勘違いされてしまうのも一緒なのかな。
自分で自分の症状を抑えることは難しいけど、相手のことを理解できるからこそ、力になれることってあると思う。
印象に残ったフレーズ
自分の心なのに、自分の体なのに、自分では動かせなくなる。
誰かの負担を和らげるのは、強引に髪を切ったり、勝手に告白したりすることなんかじゃない。靴に炭をしのばせる。そういうことが、苦しさを軽減させてくれるのかもしれない。
生きがいを見つけるのは難しいけど、楽しみは簡単に作れる。
困難が襲ってきて得るものって、実は現実的なものかもしれない。
「単に藤沢さんは人に喜んでもらうのが好きってだけです。気を遣ってるんじゃなく、自分が好きだからやってるんですよ。」
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